花色えんぴつ

30代、独女

アイドル

今週のお題「アイドルをつづる」


アイドルっていうと、心惹かれるもの、と

解釈しています。


心惹かれるのは紛うことなき愛犬である。

2月で9歳を迎えたメスのミックス犬。

保健所で処分待ち、譲渡待ちをしていたところを

双子の片割れと一緒に保護団体に保護された。白くて生後2ヶ月だから拾われたんだと思う。


いろんなことがあった。

小さい頃は胃腸が弱く、よくもどして気を揉んだ。脱走はしないけど、寂しがりやで夜になると家の中に入れろと吠える。2歳になる頃にはほぼ家犬となった。


4歳の頃、近くの浜で走らせたら釣り人が捨てていったフグを食べた。それこそもう終わりだと覚悟したがなかなか元気で、遅かったが獣医さんへ連れていった。軽く中毒を起こしていて、ステロイド剤を打って事なきを得た。

体が大きかったのが幸いだった。

それから自由に走らせることはやめた。


妹の結婚式でかかりつけの動物病院に泊めさせたときは、三日三晩鳴いていたといい、もう来るなと言われた。病院には申し訳なく、愛犬にも悪いことをしたと反省した。

それから家族旅行は私が留守番をするようになった。


たまに手作りでご飯を作る。

愛犬は自分のだと分かるみたいで、心待ちにしている。ささみとじゃがいもを湯がいて、細かく割いてあげる。

鰹節を混ぜるとなお喜ぶ。


散歩のあとは犬用チーズが日課である。

これは、畑に捨てられていたさつまいもを咥えて持って帰ったところ、交換にとチーズをあげてから覚えたようだ。

それからチーズをもらうまで動かない。

大好物なのだ。


なわぬけしていなくなった時は、青くなって探したが、何のことはなく、自分の犬小屋で寝ていた。

外に出ようという考えはまるでない。先代の犬はオス犬で、いつも脱走する機会をうかがっていたのだが、性別が異なるからかえらい違いである。


一昨年、左後ろ足に腫瘍ができた。

2件目のかかりつけの病院に診てもらって、手術ということになったのだが、先生が無口な人でそれに怖がり、当日になりキャンセルとなった。

諦めきれず、遠く車で30分の動物病院に連れて行き、この先生がベテランの非常に優秀で人間的にも信頼できる先生で、犬も落ち着いたため、この病院でお願いした。

結果、良性であり綺麗に切除でき、いい治療を受けられた。こちらの病院には、終生お世話になるつもりである。


私は毎週末、実家に帰る生活を6年続けている。時間でいうと2時間片道かかる距離。

年齢的にしんどくなってきたのが正直なところだが、愛犬の様子を見に帰ることが私の生きがいである。

犬なんかもらわなければ良かった、など微塵も思ったことはない。

家族旅行でひとり留守番となっても、なんとも思わない。

人が見たら、大変だね、と思われると思う。しかし、私自身はそんなことは考えたこともなく、愛犬には感謝している。


あとどれほどの時間を共に元気にいてくれるか、それは神のみぞ知るところだが、後悔のないように、これからもしっかり育てていきたいと思う。


彼女は、かけがえのない、我が家のアイドルである。