■
今週のお題「家で飲む」
半年前までは、ひとりでバーでカクテルを飲むのが週に一度の至福のひとときであった。
何年かそういう生活を続け、あらゆるお酒とカクテルを楽しんだと思う。
だが、半年前に知人の不幸があり、いっそのこと
この楽しみもやめてしまおう、と決めた。当時、大切な知人と同じくらい、バーのカクテルが好きだったからだと思う。
それから全く、そのショットバーどころか別のバーにも行かない。
今住んでいる部屋は4階建ての4階の部屋である。賃貸にしては少しベランダが広い。
このベランダで、万能台に腰掛け
足を伸ばして、夕焼けを仰ぎながら、缶チューハイや赤ワインを飲むのが、今の私の至福のひとときだ。
風に当たりながら、街の喧騒を見下ろして、遠くの夕焼けを見つめながら少しだけ。
普通の賃貸マンションの一室で、こんなに贅沢な気持ちになれるのは、私にとっては大きな幸せである。
なぜ、彼は自ら命を、
そう思いながら、亡くなってしまった知人を夕焼けに思い出す。
ショットバーのカクテルが懐かしいが、戻りたいとは思わないのは、失ったものを大切にしている
そんな気持ちの裏返しである。
彼の死は、これからも私の
永遠の七不思議だ。
心の癒えぬ傷跡も、ベランダの赤ワインで綺麗に彩られるようだった。